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ゴアテックスレインウエア ~快適性とサステナビリティ~

2021/6/18

ゴアテックスレインウエアのはっ水性のメカニズムと、適切なメンテナンス方法をご紹介

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レインウエアをこまめにメンテナンスしながら、できるだけ長く使い続けることが環境への配慮だといえます。はっ水性のメカニズムと、適切なメンテナンス方法を『岳人』の人気連載「Dr.Mの山道具考」より抜粋してご紹介します。

Dr.M

真崎文明。株式会社モンベル顧問。1972年欧州遠征で、グランド・ジョラス北壁登攀とドリュ西壁の日本人初登攀を果たす。1975年、山仲間だった辰野勇(モンベル現会長)とともにモンベルを立ち上げ、商品の企画&製造、営業を担当。素材、特に繊維に関して造詣が深く、海外の取引先から敬意をもって「Dr.」と呼ばれている。

レインウエアのはっ水性

はっ水性を維持するために

最初はしっかりと水をはじいてくれていた防水透湿素材のレインウエアも、何回も使用していると、はっ水性が落ちて、表面がべったりと濡れるようになります。生地表面のはっ水剤が落ちていく、ということもありますが、それよりも、生地表面に付着した汚れなどが原因となります。
蓮の葉っぱをよく例えにするのですが、蓮の葉の上の水がころころとした玉になるのはご存知だと思います。これは葉の表面にとても細かい毛が生えており、それが水を持ち上げてはじくのですが、撥水の原理もそれと同じです。汚れが付着すると、その汚れた部分のはっ水基が寝てしまい、水をはじかなくなるのです。
それを防ぐには、こまめに洗濯をすることです。洗濯し、乾燥機やアイロンで熱を加えることによって、はっ水基が再び起き上がり、水をはじくようになります。ただし、すすぎを念入りにして洗剤をしっかりと落とすようにしてください。洗剤は汚れと同じような役割をして、はっ水基を寝かせてしまいます。
また、こまめな洗濯は生地の劣化も遅らせます。雨具の首周りや手首などは体から出る油分が付着しやすい箇所です。この油分を取り除いてやることが重要です。

はっ水性低下のメカニズム

生地表面にははっ水基と呼ばれる加工が施されています。はっ水基が立った状態では水滴をしっかりはじきますが、メンテナンスを怠って表面に汚れがつくとはっ水性能を発揮できなくなります。表面の生地が保水し、水蒸気の通り道がなくなるとウエア内部の結露につながるのです。

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生地表面に立っているはっ水基(はっ水成分)の上で、水滴がコロコロと転がる状態が理想的。

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摩擦ではっ水基が乱れたり、皮脂や汚れが付着することで水と結びつきやすくなり、はっ水性が阻害されてしまう。

はっ水性と環境への配慮

実ははっ水性は、5年前、10年前と比べ、落ちています。なぜならはっ水剤が変わっているからです。以前のはっ水剤は強力で長持ちしたのですが、その製造過程に出る一部のフッ素化合物が環境に影響を与える可能性が指摘され、成分を環境負荷の低いものに変更したからです。便利だけれど、それがわれわれが生きる環境を変えてしまっては、本末転倒です。
同様に、工業製品は製造過程で少なからずCO2を排出します。ゴアテックスメンブレンは、理論上は劣化しませんが、先にお話した油分や雨に含まれる汚れで表や裏に使う生地の性能が阻害されていきます。お使いのレインウエアをはじめ、さまざまな登山用品をこまめにメンテナンスして長持ちさせ、少しでも長く使い続けることは、持続可能な社会を実現するためにも大切な環境への配慮だといえるのです。

【実験】はっ水性の低下によって奪われる体温

レインウエアのはっ水性が落ちると、身体にどのような影響があるのか。サーモグラフィーを使って実験しました。

実験方法


同じモデルのレインウエア(色違い)2着を用意。一方は撥水性が十分なもの、もう一つは撥水性が落ちたもので比較しました。レインウエア表面が濡れた状態で着用し、扇風機の風に15分間当たった後の温度変化をサーモグラフィーで測定しています。内側に着用したものはTシャツのみ。

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実験結果

はっ水性が落ちたウエアでは著しい温度低下が見られます。また、サーモグラフィーで確認できる以上に、体感での両者の差はかなり大きいものでした。はっ水性が落ちると生地表面の保水量が増え、その水が気化する際に熱を奪って体を冷やしていきます。はっ水性が高ければ、生地表面は比較的ドライに保つことができ、冷えを感じにくいと言えます。

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ゴアテックスファブリクスを特性によって使い分ける

レインウエアに使われるゴアテックス ファブリクスの多くは、表地+ゴアテックスメンブレン+裏地の3層構造になっています。(軽量化を優先したものでは2層構造のものもあります)表地や裏地の性能により、透湿性や強度、しなやかさが決まり、製品の用途によって使い分けています。

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ゴアテックスレインウエア・ラインアップ

ゴアテックス ファブリクスにはさまざまな種類があり、レインウエアもその特性を生かした多数のモデルが開発されています。
※重量は平均重量 ※透湿性は当社の参考値(JIS L-1099B-1法)

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軽量性と耐久性に優れた 高機能モデル


縫製箇所を極限まで減らす独自のパターンと、裏地に極めて薄いニット素材を使用することで軽量性と着心地のよさを実現。

ストームクルーザージャケット
素材●3レイヤー(GORE Cニットバッカーテクノロジー)
耐水圧●50,000mm以上
透湿性●35,000g/㎡・24hrs
強度 ★★★★
製品重量●254g

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運動量が多い場面で活躍する軽量モデル


衣服内の蒸れを素早く排出するピットジップを備え、スピードハイクやトレイルランニングなど、発汗量が多いアクティビティに最適。

トレントフライヤージャケット
素材●2レイヤー(パックライトプラスプロダクトテクノロジー)
耐水圧●50,000mm以上
透湿性●44,000g/㎡・24hrs
強度 ★★
製品重量●194g

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高強度でコストパフォーマンスに優れる


ゴアテックスファブリクスを使用したモデルとしてはリーズナブルな価格を実現。生地強度は最も高いが少々重い。

レインダンサージャケット
素材●3レイヤー
耐水圧●50,000mm以上
透湿性●25,000g/㎡・24hrs
強度 ★★★★★
製品重量●335g

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圧倒的な透湿性を実現


ラインアップ中最高の透湿性を誇る。恒久的に保水しない表面により、水分を含んで重くなることがなく、速乾性にも優れる。生地強度は低く取り扱いに注意。

ピークドライシェル
素材●2レイヤー(ゴアテックスシェイクドライ)
耐水圧●50,000mm以上
透湿性●80,000g/㎡・24hrs
強度 ★
製品重量●185g

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しなやかで着心地の良い高機能モデル


薄く柔らかい素材を使用することで軽量コンパクト性に優れ、今までにない着心地の良さも実現しています。

レイントレッカージャケット
素材●2レイヤー(ウィンドストッパー®ファブリクス バイ ゴアテックス ラボ[防水仕様])
耐水圧●30,000mm以上
透湿性●43,000g/㎡・24hrs
強度 ★★
製品重量●188g

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Light&Fastを追求した究極の軽量コンパクト


1gでも荷物の重量を減らしたい登山をはじめ、さまざまな場面で活躍。コンパクトに収納できウィンドブレーカー感覚で携行できる。

バーサライトジャケット
素材●2レイヤー(ウィンドストッパー®ファブリクス バイ ゴアテックス ラボ[防水仕様])
耐水圧●30,000mm以上
透湿性●43,000g/㎡・24hrs
強度 ★★
製品重量●134g

レインウエアの洗濯方法

レインウエアの防水透湿性を維持するためには、はっ水性を回復させることが大切です。生地に付着する汚れは目に見えにくいものが多く、着用するだけでも汗や皮脂が付着します。こまめに洗濯することでレインウエアの寿命を延ばすことができるのです。

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汚れがひどい部分には、直接洗剤を塗布しておきます。手洗い指定の場合もあるので事前に洗濯表示を確認しましょう。

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洗剤は中性のものを使用してください。ジッパーやベルクロタブは閉めておき、ネットに入れてデリケート洗いコースで洗濯します。

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生地に洗剤を残さないよう、すすぎを通常の2倍程度長く行いましょう。洗剤が残っていると、その成分が水を引き寄せ、はっ水性の低下につながります。生地が水を通さないので洗濯機での脱水はせず、必ず手で水を切ってください。

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汚れを落としたら、乾燥とともに熱処理を施します。熱処理によってはっ水性能を回復させることができます。乾燥機がおすすめですが、自然乾燥の場合は、アイロンで熱処理を施します。

メンテナンス用品

洗濯と熱処理だけではっ水性が回復しなくなったら、はっ水剤を使用するタイミングです。それぞれの製品に適したものを使いましょう。

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