透きとおる空にきらめく雪面、静かで穏やかな樹林帯と雄大な稜線―。雪山にはそこでしか味わえない素晴らしい景色やシーンが数多くあります。しかし、雪山は他のシーズンと比べて山の状況や気象条件が過酷で、それに対応する技術も必要になります。雪山に必要な装備を揃え、技術を身に付けて、白銀の世界に踏み出しましょう。
スノーハイク
初めての雪山なら、森林限界以下のフィールドで楽しむスノーハイクがおすすめ。樹氷など、冬にしか見られない自然の造形とも出合えるかも。【足元は軽アイゼン】
スノーシューハイク
ふわふわの雪原を自由に歩けるのが魅力のスノーシューハイク。動物の足跡を探すアニマルトラッキングなど、自然観察も楽しめます。【足元はスノーシュー】
雪山登山
時には森林限界を超える稜線で、アイゼンやピッケルを使用して登る雪山登山。頂きからみる絶景と達成感はたとえようもありません。【足元はアイゼン】
天候や山の状況を事前にリサーチ
雪山の天気は変わりやすく、天候によって行動が大きく左右されますが、近郊の低山といえども、急な吹雪でホワイトアウトしたり、雪が深く、思うように行動ができない場合もあります。天気予報や、山小屋の発信している情報を事前に確認しましょう。
低体温症と凍傷にならないために
低体温症と凍傷は低温下で引き起こされます。予防にはまず保温が大切。衣服など身につけたものを濡らさないこと、風をシャットアウトすること、肌を露出しないことなどがポイントです。雪山に適したウエアを選びましょう。
雪山では寒さに対応できるウエアと、雪に覆われた山で行動するためのギアが必要になります。雪山に行く前の一歩として、自分が持っている装備を確認してみましょう。
1.帽子
凍傷を避けるため、耳まで覆える保温性の高いニットキャップがおすすめ。風の強い稜線歩きの時は、顔全体を守るために目出し帽をかぶることも。
2.アイウエア
まぶしい光を抑え、紫外線を防ぐための装備。吹雪のときはゴーグル。それ以外はサングラスが使いやすいでしょう。
3.ウエア
雪山のウエア選びはレイヤリング(重ね着)の考え方が重要です。大きく分けてアウターレイヤー、ミドルレイヤー、ベースレイヤーの3層で構成されます。
4.グローブ
防水のアウターと保温性のあるインナーの組み合わせが一般的。最下層にさらに薄手のインナーを着用することもあります。予備のグローブの携行も忘れずに。
5.フットウエア
雪山登山用のフットウエアは保温材が封入され、アイゼンが外れないようにソールが硬くできています。
6.バックパック
背面のバックパネルに雪が付着しにくく、ピッケルが装着できるモデルであれば、夏山登山で使っているバックパックを流用できます。
7.ピッケル
傾斜のきつい雪面を登る際のサポートや滑落停止にも使う重要な装備。傾斜が緩いところではトレッキングポールを使うこともあります。
8.スパッツ
フットウエア内への雪の侵入を防ぎ、保温効果を高めてくれます。
9.アイゼン
硬く凍りついた雪面や雪の付いた岩稜を確実に捉えるには前爪のついた10本爪、12本爪のアイゼンが必要です。
はじめは寒くても、登っていると汗をかくほど暑くなったり、風が吹く稜線では凍えるほど寒かったりと、雪山では状況によって体感温度が大きく変わります。快適に行動するには、運動量と山域、自分の寒さへの耐性を考慮してウエアを組み合わせ(レイヤリング)、状況に応じてこまめに脱ぎ着することが重要です。
一般的に、肌に触れるベースレイヤーは吸水拡散性、中間着のミドルレイヤーは保温性、アウターレイヤーは風、雪(雨)から身を守る遮断性を求められます。
アウターレイヤー
風雪から体を守るアルパインウエアは、雪山のアウターレイヤーとして開発されたウエア。表地に滑り止め加工をした生地が使用されている点が、レインウエアとの大きな違いです。
ミドルレイヤー
フリースやソフトシェルなど、さまざまなアイテムから選べるミドルレイヤー。フリースが一般的ですが、防風性と撥水性があり、荒天時以外はアウターとして使えるソフトシェルも便利です。
ベースレイヤー
運動量が多く汗をかく状況では、吸水拡散性に優れた化繊素材のアンダーウエアを、保温性を重視するならメリノウールを使ったものがおすすめです。
レイヤリング例
樹林帯のハイクアップなど風もなく行動量が多い時
稜線上での行動など風雪があり気温が低い時
休憩中に役立つダウンウエア
行動していない時は、体を冷やさないようにダウンウエアを着ます。スタッフバッグに収納して、バックパックに入れておきましょう。ダウンウエアは行動中には暑すぎるので休憩中や宿泊時に着るのが一般的です。
モンベルのダウンは、一般的なダウンより保温力に優れる高品質なダウンを使用しています。FP(フィルパワー)の数値が高いほど、高品質のダウンです。
モンベルのアルパインウエアには、雪面での滑り止め効果を発揮するアンチグリース・ナイロンが使われています。表面に微細な「しわ」を持たせたナイロンで、毛羽立ちがないため雪が付着しづらく、「しわ」により雪との摩擦が生まれ滑り止め効果を生みます。
アンチグリース・ナイロン
繊維一本一本にねじりが加わっているため、雪面で滑り止め効果を発揮します。
レインウエアに使用するナイロン
繊維にねじりが加わっていないため、雪面での滑り留め効果はありません。
アルパインウエアは、雪や冷気が入りにくいデザインや、蒸れを効率的に放出するジッパーなど、雪山に適した機能を備えています。
裾からの雪や寒気の侵入を防止するウインドスカート。
衣服内の蒸れを素早く放出するジッパー。
フィット感に優れる立体フードパターン。
【特集】モンベルのアルパインウエア
強烈な風雪や氷点下を下回る気温にさらされる冬季登山。過酷で厳しく変化する環境に対応するための、優れた素材と高い機能を組み合わせたウエアが求められます。こちらの特集では、細部にわたり、進化を続ける機能に迫ります。
雪山での行動を支えるアルパインウエア
雪や強風といった厳しい外部環境から体を守る
雪山のアウターレイヤーにはアルパインクロージングがおすすめです。ずっと着たまま行動しても快適にいられるように、さまざまな工夫が施されています。
保温性を確保しながらウエア内をドライに保つ
フリースやソフトシェルなど、さまざまなアイテムから選べるミドルレイヤー。汎用性の高いフリースが一般的ですが、防風性と撥水性があり、荒天時以外はアウターとしても使えるソフトシェルも便利です。オーソドックスなウールシャツも根強い人気があります。
汗をすばやく吸い上げてウエアをドライに保つ
モンベルでは3種類の厚みをラインアップ。ご自身にあったモデルを選ぶことができます。
素材は、行動量が多く汗をかくような状況には、吸水拡散性に優れた化繊素材のアンダーウエアを、保温性を重視するならメリノウールを使ったものがおすすめです。
山小屋やテント内の冷えに備える必携ウエア
ダウンウエアは、行動中に着ると暑すぎて余分な汗をかいてしまいます。よほどの場合をのぞいては、休憩時に着るようにしましょう。歩くのを止めるとすぐに冷える雪山では必須の装備です。
末端を冷やさないための小物
凍傷を予防するため、頭部や四肢などの末端部を保温することが重要です。
スノーシュー&スノーハイク向け
雪山登山向け
山肌が硬く凍りつき、深い雪に覆われる雪山では、夏山とは違った装備が必要になります。どんな装備が必要なのか、自分が持っていない装備はどれなのかを確認しましょう。
防水透湿性のあるブーツが必須。本格的な雪山登山では、保温材が封入されていて保温性が高いものを選びましょう。ワンタッチ/セミワンタッチアイゼンに対応するために、前後のコバの有無も重要なポイントです。
スノーシュー&スノーハイク向け
雪山登山向け
フットウエアの上に装着し、雪が靴に入るのを防ぎます。
スノーシュー&スノーハイク向け
雪山登山向け
固く凍った斜面を歩くには、前爪のある10本爪以上のものが適しています。使用するブーツとの相性が大切なので、必ず事前にフィッティングを行いましょう。
スノーハイク向け
雪山登山向け
【特集】クラス最軽量と高い剛性を誇る、カジタックス アイゼン
クラス最軽量のアイゼンやピッケル、アイスバイルなどの登はん道具を製造し、登山家に愛用され続けてきたカジタックス。冬季の本格登山やアルパインクライミング、縦走に幅広く対応するラインアップをご紹介します。
クラス最軽量と高い剛性を誇る、カジタックス アイゼン
雪の上でも足を沈ませず安定した歩行を可能にするスノーシュー。本格的な雪山登山へは登坂性能の高いモデルがおすすめです。
「アルパインスノーポン」シリーズ
カジタックスアイゼンを着用したまま容易に着脱ができる画期的なスノーシューです。
ピッケルは歩行時のバランス保持や滑落停止などに使用する雪山登山の基本装備ですが、雪が少ない場合はストックの方が扱いやすいこともあります。バスケットは雪山用の大型のものを使用しましょう。
スノーシュー&スノーハイク向け
雪山登山向け
紫外線や風雪から目を守るアイウエアは必須アイテムです。
スノーシュー&スノーハイク向け
雪山登山向け
ピッケルホルダーがあるもの、スノーシューが取り付けやすいものなど、用途に応じて必要な機能を備えたものを選びましょう。背面パネルやショルダーハーネスに雪が付着しにくい素材を使ったものがおすすめです。
雪崩が予想される山域やルートの場合、アバランチ(雪崩)ギアを携行することが推奨されています。いざという時にきちんと使えるように、捜索訓練などで使い方を確認しておきましょう。
ゾンデ(プローブ)はなだれ埋没者を捜索する際に、スノーショベルは埋没者を掘り出す際に使用します。スノーショベルはテント設営時の雪面の整地などでも活躍します。
電波信号を発信するギア「ビーコン」
ビーコンは一部のモンベルストアで取り扱っています。在庫などご確認の上、ぜひご来店ください。
道迷いなど万が一に備えて携行しておきたいアイテム。ツェルトはビバーク時だけでなく、休憩時の風よけとしても使えます。普通の水筒やハイドレーションでは飲み物が凍ってしまう雪山では、保温性のあるボトルも必携です。
こちらは、積雪期の日帰り登山を想定した装備チェックリストです。対象とする山域、時期、天候により適した装備が異なる場合があります。ご不明な点は、お近くのモンベルストアでお気軽にご相談ください。
PDFファイルはこちら(372KB)
万が一の事故のときに発生する費用を補償してくれる山岳保険への加入は、雪山登山の“必須装備”といっても過言ではありません。モンベルではピッケル・アイゼンを使用した本格的な山岳登はん向けに、短期補償型と長期補償型の2種類の保険をご用意しています。
保険について
STEP1 机上講習で道具の使い方を学ぶ
モンベル店内セミナー
日帰り程度の雪山登山を安全に楽しむのに適した服装や装備をわかりやすくご案内します。
【セミナー内容(一例)】
雪山で必要な服装/主な雪山道具の説明/雪山でのリスクマネジメント/イベントやおすすめフィールド紹介/保険のご案内
モンベル店内セミナーについて
STEP2 実際の山のなかで技術を体得
M.O.C.(モンベル・アウトドア・チャレンジ)雪山登山技術実践講習会
標高2,000m以上の本格的な雪山を目指す方へ向けた講習会です。雪山登山をより安全に楽しむために、最も重要なピッケルワークとアイゼンワークなどの技術を習得します。
【講習内容(一例)】
アイゼンを履いての滑落停止/アイゼンワーク/ラッセル/キックステップ/耐風姿勢/初期制動 など
雪山登山技術実践講習会イベントの一覧
M.O.C.(モンベル・アウトドア・チャレンジ)はモンベルの野外活動部門。雪山登山を安全に楽しむためのおすすめイベントが盛りだくさん! モンベルスタッフ同行ツアーのほか、プロガイドによる雪山講習会などもご用意しています。この冬、私たちと一緒に白銀の世界へ出かけましょう。
雪山トレッキングイベントのほか、スノーシューツアーやこれから山スキーをはじめてみたい方向けのコースなども多数ご用意しています。
雪山トレッキングイベント一覧
スノーシューイベント一覧
スキーイベント一覧
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