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はじめての山歩き 【登山の基本装備・秋冬編】

2019/10/30

気温が下がる秋から冬は、快適に行動できる山歩きにぴったりの季節。秋には赤や黄色に色づいた紅葉を楽しみながら、冬には木々の葉が落ちて視界が開け、澄んだ青空のもと気持ちよく歩くことができるでしょう。
秋から冬にかけて、里山や低山歩きを楽しむために必要な基本装備やウエア、知っておきたい知識や山でのマナーなどをご紹介します。

山の基本知識

どんな山がいい? はじめての山選び


「静かな森の中を歩きたい」「冬の森で野鳥を観察したい」など、まずは行ってみたい山のイメージを膨らませてみましょう。最も重要なのは、自分のレベルに合った山を選ぶこと。ガイドブックやインターネットの情報を参考に決めるのこともできますが、登山経験者に相談した上で同行してもらったり、M.O.C.(モンベル・アウトドア・チャレンジ)のトレッキングツアーに参加したりして、山歩きの基本を経験者から学ぶのが賢明です。

「はじめての山選び」のポイント


・ポピュラーで登山者の多い山(登山道やトイレなどの施設が整備されていることが多いので安心です)
・真冬でも雪の少ない里山や、登山口から頂上までの標高差が300m以下で、歩行時間が2時間程度のコースがある低山

気候条件による、気温や体感温度の変化について


標高が100m上がる毎に気温は0.6度低くなり、風速が1m/s増すごとに体感温度は約1度ずつ低くなると言われています。防寒着の不足や過度な発汗による汗冷えは低体温症につながる恐れがあります。適切なレイヤリングで防寒対策をしっかりと行いましょう。

登山計画と登山届


行き先が決まったら、自分の体力やスキルを考慮し最適なコースを選びます。グループ登山では、体力や経験値が最も低いメンバーに、コースレベルや歩行ペースを合わせるのが基本。地図を見て、標高差やコースタイム、クサリ場や危険箇所の有無などを参考に、コースを決定します。メンバーとコース、日程などが決まったら登山届を作成し、あらかじめ家族や友人にコピーを渡した上で、登山当日に登山口のポストに投函します。
最近では、Eメールやオンラインフォームから登山届を受け付けている自治体も増えているので、事前に自治体などのホームページでご確認ください。

山歩きのルールと安全対策


■備えを怠らず、山でのルールを守って、安全第一で山歩きを楽しみましょう。
■登山道でのすれ違いは「登り優先」が基本。道を譲るときは、滑落の危険がある谷側ではなく身を寄せやすい山側に避けましょう。
■道に迷ったら…確認できる場所まで引き返すのが基本です。沢や谷には決して降りないこと。
■日没が迫ってきたら…登頂を果たしていなくても欲を出さず、引き返して下山しましょう。ヘッドランプの使用を前提にする行動計画は危険です。

登山の基本は「早立ち・早着き」


安全のために、早めの出発・早めの下山のスケジュールを組みましょう。日の長い夏と比べるとこの時期は驚くほど早く日が暮れます。15:00までには下山できる計画にしましょう。たとえ里山、低山といえども暗闇の中で道に迷ってしまったら一大事。日が暮れてしまった時のために、日帰り登山でも必ずヘッドランプを携帯してください。

天候悪化&寒さに備えて


山の天気は変わりやすいもの。常に時間にゆとりを持って行動するよう心がけてください。事前に天気予報を確認し、悪天候が予想される場合は登山を中止しましょう。また、山では平地に比べて気温が低く、風も強く吹きます。特に冬など気温が低い時に風が吹いていると、実際の気温より寒く感じます。レインウエアはもちろん、休憩中の保温着や末端を冷やさないためのグローブなどの小物は必ず持参しましょう。温かい飲み物を入れるボトルも秋冬の山に持って行きたいアイテムです。

山での服装・ギア

安全・快適な登山は、最適な道具選びから。登山に欠かせない三種の神器(バックパック・登山靴・レインウエア)をはじめ、さまざまな登山装備をご紹介します。

快適・安全に楽しむ基本テクニック「レイヤリング」

登山のウエア選びの基本はレイヤリング。
異なる役割を持つウエアを、「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」の3つの層に分けて重ね着することで、外部環境から体を守り、快適性を保ちます。
天候や気温の変化が大きく、運動量による温度調節が必要となる登山では、適切なウエア選びが大切です。

レイヤリングシステムについて

秋~冬のレイヤリング


秋から冬にかけての登山は、特に気温の変化が激しくなります。日中は暑くても朝晩の気温は氷点下まで下がることもあり、登っているときは汗をかいても、休憩すると汗が冷えて急に寒くなったりします。このような自然環境の中で快適・安全に登山をするためには、こまめな脱ぎ着が必要になります。

【アウターレイヤー】
雨・風・雪などから体を守ります。一年を通して活躍するレインウエアや冬山用のアルパインウエアなどが該当します。
【ミドルレイヤー】
保温性を確保しながらウエア内をドライに保ちます。フリースソフトシェルシャツなどが該当します。
【ベースレイヤー】
汗を素早く吸水拡散して汗冷えを防ぎます。ポリエステルやウールのアンダーウエアTシャツなどが該当します。

組み合わせ例

 

山での基本装備

日帰り登山の持ち物

地図・コンパス、ツエルトなど、たとえ日帰りであっても十分な装備が安全につながります。

アウターレイヤー(レインウエア)

雨や風、時には雪から身体を守る役割を持つのがアウターウエア。雪のない低山ハイクならレインウエアを使用することができます。ウインドブレーカーとしても役立つので、晴れている日でも上下セットで必ず持参しましょう。汗や蒸れを逃してくれる防水透湿性に優れたウエアがおすすめです。

アウターレイヤー(アルパインウエア)

保温性や耐久性を重視したい方は、アルパインウエア(ハードシェル)が適しています。裏地が起毛していたり、保温材が封入されているタイプは予想外の冷え込みにも心強いアイテムです。

ミドルレイヤー(行動着・中間着)

運動量の多い登山では、汗をかいても素早く乾き、動きやすいウエアが適しています。冬でも行動中は思いのほか熱くなり汗をかきます。暑くなったら首元を開けて温度調整ができるよう、ボタン付きのシャツやジップシャツがおすすめ。また「暑いな」「寒いな」と思ったらすぐに脱いだり着重ねたりして、発汗や汗冷えを抑えましょう。

ワンポイント・アドバイス


アウターレイヤーの防風性・撥水性と、ミドルレイヤーの保温性・ストレッチ性をバランスよく兼ね備えた「ソフトシェル」は秋冬の登山で活躍するアイテムです。
ソフトシェル一覧へ

ベースレイヤー(肌着)

大量に汗をかく登山では、汗を素早く吸収拡散させて肌を常にドライに保ち、汗冷えを防ぐことが重要です。特に気温の低い冬は汗冷えによる低体温症のリスクが夏よりぐっと高くなります。ミドルレイヤー(行動着)の下に、保温性と速乾性を備えた高機能アンダーウエアを着用して熱は逃がさず汗を逃がし、快適な行動を実現しましょう。

保温着(防寒着)

秋冬の山歩きにはしっかりとした防寒着が必須です。体温が急に下がる休憩時には面倒がらずに着るようにしましょう。

パンツ/スカート

歩行時に足を動かしやすいよう、ストレッチ性に優れた生地や立体裁断が施されたものを選びましょう。
ショーツやスカートを履く場合には、タイツを着用しましょう。足を保護するだけではなく、歩行をサポートする機能を持ったタイツもラインアップしています。足元にレッグウォーマーをプラスすればさらに保温性もアップします。

帽子/グローブ/ソックス

保温性のある帽子・グローブ・ソックスは秋から冬の山歩きには必須アイテムです。ニット帽や防寒グローブは耳や指先といった末端部を守ってくれます。ソックスは指先が冷えないように厚みのあるものを。コットン素材は保水してしまうためおすすめできません。化繊やウール素材のものを選びましょう。

トレッキングシューズ/軽アイゼン

トレッキングシューズは、足を守り山での歩行をスムーズにしてくれる必須アイテムです。必ず自分の足のサイズ、形にあったトレッキングシューズを選びましょう。平坦で整備された道を歩く場合はローカットかミドルカットが、長時間の歩行や岩場・デコボコ道などを歩く場合はハイカットがおすすめ。防水透湿性に優れたGORE-TEXを採用したモデルや、靴紐代わりに採用したワイヤーによって着脱が素早く行えるモデルもあります。

ワンポイント・アドバイス


買ったばかりのトレッキングシューズは、あらかじめ通勤・通学などに使用し、慣らしをしておくことで、靴ずれなどのトラブルを軽減することができます。
ソックスとの相性も事前に確認しておきましょう。

トレッキングソックス一覧

低山でも雪には注意


低山でも気象条件によっては雪が積もる場合があります。その場合は必ず、軽アイゼンを用意しましょう。

バックパック

身体に合ったもので、背負いやすく快適に歩けるモデルを選びましょう。中型以上のバックパックには身体によりフィットし、荷重を分散させる背面フレームが搭載されています。女性の体格に合わせて設計した専用モデルもあります。
日帰り登山では、容量が20~30Lくらいのものが良いでしょう。雨が降っていなくても、パックカバーは必ず持参しましょう。

ワンポイント・アドバイス


行動中にあまり使用しない、軽くてかさばるものを一番下に、重いものを真ん中に、よく使うものや小物を一番上に入れるのが、パッキングの基本です。

ヘッドランプ

道迷いや怪我など、思わぬトラブルにより下山が遅れる場合に備え、日帰り登山でも必ずヘッドランプを持参しましょう。
明るさを示す単位に“ルーメン”があります。70ルーメンを超えるヘッドランプであれば、万が一暗くなってもある程度行動を続けられるので安心です。小型で携行性に優れていても、30ルーメンを下回るヘッドランプは、小屋・テント内での使用が主目的なので、行動時の使用には注意が必要です。

水筒

水分補給はこまめに行いましょう。水筒は軽量で持ち運びがしやすく、収納性に優れたものがおすすめです。この時期の山歩きでは保温ボトルを用意し、温かい飲み物を入れておきましょう。

店内講習会&M.O.C.のツアー

モンベルストアで開催中の店内セミナー


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